TranSIESTA-C1.3.0.4からAtomistix ToolKit(ATK)2.0へのアップデートでは、種々の機能強化に加え、計算速度の向上が謳われています。そこで、どの程度のスピードアップがなされているのかを確認するため、ATK2.0とTranSIESTA-C1.3.0.4との計算時間の比較を行いました。
| Hardware | Dell Inc.製 Dell Precision Workstation 670 |
|---|---|
| CPU | インテル Xeon 3.6GHz x 1CPU |
| Memory | 2GB |
| OS | Microsoft Windows XP Professional ServicePack1 |
| Software | Atomistix ToolKit 2.0 |
| TranSIESTA-C 1.3.0.4-2004-10-20 |
ここで実施した計算では、TranSIESTA-C 1.3.0.4のインストールディレクトリ下のexamples内にあるAlq3(分子系)、アビラム・ラトナーの分子素子(分子系)、カーボンハット(分子系)、Si(バルク)、金電極間にアビラム・ラトナーの分子を架橋した系(2プローブ系、以下Au-AR-Auと表記)のATK入力ファイルを使用しています。
ただし、パラメータの名前がATK2.0で変更になったものは適宜変更しています。
また、Au-AR-Auの2プローブ系については、オリジナルの入力ファイルでは0バイアスとなっていますが、今回の計算ではバイアス電圧を1Vとして計算しました。

上段:左からAlq3、アビラム・ラトナーの分子素子、カーボンハット(いずれも分子系)
下段:左からSi(周期系)、Au-AR-Au(2プローブ系)
実施した計算時間は以下の通りとなりました。ただし、2プローブ系の計算では、中心領域の計算時間のみであり、電極の計算時間は含まれていません。
| 系 | TranSIESTA-C | ATK | 増減 |
|---|---|---|---|
| 分子系 | |||
| Alq3 | 33分05秒 | 14分15秒 | 約57%減 |
| アビラム・ラトナー | 29分31秒 | 18分29秒 | 約37%減 |
| カーボンハット | 8分43秒 | 4分40秒 | 約46%減 |
| 周期系 | |||
| Si | 4分53秒 | 52秒 | 約82%減 |
| 2プローブ系 | |||
| Au-AR-Au | 40時間34分34秒 | 6時間09分51秒 | 約85%減 |
また、上記の結果をグラフにしたものが、以下のグラフです。

TranSIESTA-C1.3.0.4とATK2.0を比較すると、計算に要した時間は約1/1.6〜1/6となり、非常に高速になったことが確認できました。
なお、計算対象やパラメータの取り方、計算環境など様々な要因で計算時間は変わりますので、ここで挙げた数値はご参考程度とお考え下さい。